簡易金型の作成方法の解説です。
手順はあくまで一例です。
今回の作例の3Dデータは下記からダウンロード可能です。
https://drive.google.com/drive/folders/1FE9KkL14jQ3brI5l5vd_rF391zgzm2WZ?usp=sharing
目次
1.前提条件
2.3Dデータ作成
3.工夫
簡易金型の作成方法の解説です。
手順はあくまで一例です。
今回の作例の3Dデータは下記からダウンロード可能です。
https://drive.google.com/drive/folders/1FE9KkL14jQ3brI5l5vd_rF391zgzm2WZ?usp=sharing
1.前提条件
2.3Dデータ作成
3.工夫
■編集環境の一例 (同程度の環境であれば問題ない)
3D CAD:Fusion360
Fusion360 は、Autodesk社が提供している高機能3DCADソフト。
個人向け利用は機能に制限がかかりますが、無料で使用可能。
3Dプリンター: WANHAO Duplicator D7
中国製の安価な光造形式3Dプリンター。
寸法精度については3Dデータどおりはないものの、
大体近い寸法には収まる程度の能力。
■金型の構造について
金型はモールドベース(簡単に言うと補強の為の金属製の枠)と
製品形状を彫り込んだコマと呼ばれる部分に分かれる。
3Dプリンタを使用するのはコマの部分となる。
モールドベースはAvalonTechから販売されるものを利用する
(コマサイズ 50mmx50mmx20mm)
■3Dプリントコマは非常に壊れやすいため、
細い部分は金属製とすることを推奨する。
具体的には、穴形状は金属の並行ピンとする等。
■3Dプリント型は冷却性能が悪い
初回から目的形状を得やすい(充填しやすい)特性があるが、
ショット数が増えてくると型が加熱し、樹脂の固体化に時間がかかるようになる。
3Dプリンタで印刷が可能な金型のSTLデータを作成。
編集環境:Fusion360
下図のような成形品を得ることを目標とする。
①コマ外形データの作成
モールドベースに収まるコマの基本形状を作成。
これは同一のモールドベースであれば使いまわしができる。
モールドベースはAvalonTechから販売されるものを利用する。
(コマサイズ 50mmx50mmx20mm)
②製品3Dデータ作成
射出成型の製品には金型から取り出せるようにするため、
必ず抜き勾配が設定されている。
例えば円筒では金型から外れないので、プリン容器のような傾きをつけること
下図は抜き勾配イメージイラスト
必要抜き勾配は成形材料や型材料、表面仕上げにより異なるが、
TAIYAKIでは以下を一例とする
■成形材料と抜き勾配
材料 | 抜き勾配 |
---|---|
ゴム系材料 | 0度 |
PP、PE | 2度 |
ABS、PMMA、PC | 3度 |
アンダーカット(逆の抜き勾配がついた状態)は無きよう注意する。
どうしても形状で必要な場合は、金型を分割し、置きゴマとする。
③スプールランナーの作成
樹脂の注入口から製品までの樹脂の流れを完成させる。
ダイレクトゲートの場合、製品にスプール形状をくっつけるだけだが、
サイドゲート方式の場合は下図のように形状を作る
各部位の具体的な寸法参考(あくまで参考です)
④データ仕上げ、出力
製品データから型データを仕上げていく。
コマ全体のブロックから下図のように製品形状の窪みやガス抜き、軽量化を施す。
製品の形状によってはコマ全体ブロックのPLを中央から動かすことも検討する必要がある。
最後に3Dプリントデータの出力を行う
下図のように「メッシュで出力」コマンドで、
ボディー一つごとに1つのファイルとして出力する。
■インサート成形
インサート成形とは、成形前に金型内に部品を配置し、
その上から樹脂を充填することで、目的の製品を成形する方法。
例)イヤホンプラグ等、コネクタ類、砲弾型LED
インサート成形の中でも、成形品をインサート成形する場合、2色成形と呼ぶこともある。
インサート成形を行う場合、金型に部品を配置する必要があるが、
バリの方向、長物に注意する。
図はイヤホンプラグ下押し(はんだ付け部分を固める成形)成形金型。
プラグ部分はバリ方向を考え、置きゴマとしている。
コード部分は長物になるため、コマ全体を少し厚くして、
モールドベースにコードを通す隙間を作っている。
このようにコマを少し厚く作り、コードを通す隙間を確保している。
■置きゴマ
アンダーカット形状が避けられない金型の場合、
前述のプラグ下押し金型のように置きゴマを設定することで、回避する場合がある
置きゴマを設定する場合、主型と置きゴマの境界にはバリが発生しやすいため、
製作難易度が高い。
置きゴマは成形前に、がたつきが無く、型の開閉に支障がないことを
確認、調整を必ず行うこと。
■ゲートの種類
射出成形で代表的なゲートの種類は以下の通り
①ダイレクトゲート
その名のとおり、スプールから直接製品形状につながっているゲート構造。
設計がもっとも単純ではあるが太いゲートカット跡が残るので、
使用できる場面は限られる。
②サイドゲート
もっとも一般的なゲート構造(作例のようなゲート構造)
製品の側面から注入するゲート構造。
基本これで設計すれば問題はない。