成形不良対策集

射出成形における代表的な不良トラブルと原因対策についてまとめてみました。

①ショートショット

樹脂が最後まで充填されない状態。

原因と対策

・樹脂温度が低すぎる→樹脂温度を少し上げる(上げすぎ注意)

・射出速度が遅くて固まる→射出速度をできるだけ早くしてみる

・ガス抜き不良で充填が難しい→ガス抜きの溝を彫ってみる(カッターとかで筋を数本)

★金型温度不足→最初の1~3ショットは金型温度が常温なので起こりがち

→数ショット捨て打ちしてみる

・充填距離が長い→サイドゲートからダイレクトゲートに変更

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②ウエルドライン

2つに分かれた樹脂の流れが合流する部分が冷えた状態で合流するため、しっかり溶け合っていない。

原因と対策

・樹脂温度が低すぎる→樹脂温度を少し上げる(上げすぎ注意)

・射出速度が遅くて固まる→射出速度をできるだけ早くしてみる

★ガス抜き不良→ウエルドが出てるところにガス抜きの溝を彫ってみる

・金型温度不足→数ショット捨て打ちして様子を見る

・充填距離が長い→サイドゲートからダイレクトゲートに変更

※ガス抜きについては後述します

③フローマーク

溶融樹脂が金型のキャビティ内を流動する途中で、金型の表面と接触する際に冷却される度合いが、樹脂先端部において差が発生することが原因

原因と対策

★金型温度が低い→数ショット捨て打ち

★ゲートサイズが小さい→ゲートの一番狭い部分を削ってみる

・樹脂温度不足→温度を上げる

・射出速度不足→射出速度を上げる

・射出圧が低い→がんばる

④バリ

金型に隙間ができて樹脂が羽のようにはみ出る現象

原因と対策

・金型温度が高い→連続のショット数が多く、金型が熱くなりすぎてるようなら冷却検討

・樹脂温度過剰→温度を下げる

・射出速度過剰→射出速度を下げる

★射出圧が高い→手加減する

⑤シルバーストリーク

樹脂の中で発生したガス(空気)が金型内で引き伸ばされ、その筋状になった『流動痕』

原因と対策

★樹脂の乾燥不足→ペレットを事前乾燥させる(例:ABS、85℃8時間以上)

★樹脂の滞留焼け→シリンダに投入したペレットを長時間溶かしたままにしない

・樹脂が部分的に速度過剰

→①ゲートサイズ大きくする

→②大きく厚みの変動する部分をなくす

→③射出速度を遅くする

⑥異物

名前どおり意図しないものが混じる

原因と対策

★使用前にシリンダの洗浄をしっかり行う

⑦ボイド

透明な樹脂でないと気付きにくい、成形品の中に空洞がある

原因と対策

★エアー巻き込み→

①射出速度が速すぎる→射出速度を遅くする

②ガス抜きがない→最終充填部付近にガス抜きの設置

③ゲートサイズが小さすぎる→ゲートの一番狭い部分を削ってみる

※金型ガス抜きについて

図のような感じに樹脂の最終充填部に樹脂が流れない程度の狭い溝を掘ることで、金型内のガスが抜けるようにする。

金型製作後であっても、カッターナイフで細い溝を掘るだけでも効果があるので、不良対策として試してみる価値はあります。