【レビュー】ベアリングの組付け方について

FarmBotの組立てに立ち会いましたが、ホイールに使用されているベアリングの組付け方が気になりました。

FarmBotのx-y方向のアーム移動は、ホイールが付いたユニットがレール(フレーム兼)上を動くことで行われています。


モータでVベルト(レール両端に端部を固定)を巻き上げることでユニットがレール上を移動します。

ホイールにはボールベアリングを2個1組で組み込んで組立てることになりますが、
ホイールにベアリングを挿入するにはかなりの力が必要でした。


ベアリングを組付けたホイール

動画では素手で簡単に挿入出来ていますが、少なくとも私の腕力では不可能でした。

ここで、ハンマー等を使用してベアリングを叩いて無理やり組付けてしまうと、ベアリングが損傷して
動作不全の原因となる可能性があります。

普通に使う分には、ベアリングが破損した状態で使用しても、恐らく動きはすると思います。
しかし、これからFarmBotを改善するにあたり、より精密、高速な動作が必要になる場合は、
ベアリングの破損による動作不全は無視できない問題になると思われます。

そこで、ベアリングの正しい組付け方や、取り扱い方等について簡単に紹介しようと思います。

<ボールベアリングの構成>
ボールベアリングは主に、内輪、外輪、ボールとボールを保持するリテーナ、異物侵入を防ぐシールから構成されています。


FarmBotのホイールに使用されているベアリング
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ボールベアリングの断面図(リテーナ、シールは省略)

ベアリングを組付ける際は、以下のように力を加えるようにしてください。

<ハウジングに圧入する場合>


ハウジングにベアリングを圧入する場合(今回のホイールへの挿入と同様)は、
ベアリングの外輪に力を加えてください。
内輪に力を加えて圧入すると、上図の赤い「▽」の点で内輪、外輪、ボールが接触し、応力が集中、傷が発生します。
傷が発生したままベアリングを使用すると、寿命の低下や騒音の発生等に繋がります。

<シャフトに圧入する場合>


ベアリングにシャフトを圧入する場合は、ベアリングの内輪に力を加えてください。
外輪に力を加えて圧入すると、上図の赤い「▽」の点で内輪、外輪、ボールが接触し、傷が発生します。

他にも、ハウジング、シャフトにゴミやバリがある状態でベアリングを圧入すると、
ベアリングが斜めに組付けられ、振動や騒音の発生に繋がりますので、注意してください。

<ベアリングの取り扱い方>
ボールベアリングは精密部品であり、衝撃荷重に弱くなっています。
組付けの際にハンマー等で叩いたり、誤った力の加え方をしたり、ある程度の高さから床に落下すると、
ベアリングの内部が損傷してしまいます。
組付け方は上記の方法を参考にし、落下等に気を付けてください。

また、ベアリング内部への異物の侵入にも気を付ける必要があります。
異物侵入は騒音の発生や寿命低下に繋がります。
特にFarmBotのように屋外で使用する場合は、異物の侵入対策が必要になります。
・ゴムシールベアリング:
今回FarmBotのホイールに使用されているタイプです。
ゴムシールによって比較的高い密閉性を持ち、異物の侵入を防ぐ事ができますが、
ゴムシールと内輪が接触しているため、回転トルクが高くなります(若干回転が重い)。

・鋼板シールドベアリング:
鉄製のシールドが取り付けられたタイプのベアリングです。
シールドと内輪の間が非接触となり、回転トルクは軽くなりますが、
密閉性は低く、異物が侵入する可能性があります。

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