ハードリミットのケーブル選定について

初めまして。

現在ArtCNC Large を組んでいます。
試運転をしたところホーミングに使用するリミットスイッチの他に、+方向のオーバートラベルを物理的に止めるリミットスイッチが欲しくなりました。

しかしケーブルの選定ができません。

緊急停止スイッチに関するドキュメントを見るに、2種類の方法が記載されていますが緊急停止スイッチのページから飛べる ”ケーブルの購入ページ” の製品は、2種類の方法の後者である「ソフトウェアによる緊急停止」に対応したものなのだろうと読み解きました。

電気について全く詳しくないのですが、電子やプログラムはさらに疎いです。
できればシンプルに理解できて信頼性・堅牢性が高い、前者の「物理的な電気遮断による緊急停止」を採用したいです。

ところがいざ配線しようと仕様確認をしたところ、

  • オプションのパワーサプライの出力は14.6A
  • パワーサプライと制御基板 CNC xPRO V5 を繋ぐケーブルは1.0mm2(見た事ない規格だが14.6Aはちょうど流せそう?)
  • だが緊急停止スイッチの容量は10A

まさかオプションの電源とオプションの緊急停止スイッチの規格が合っていないなんてことはないだろうし、この時点で既に辻褄が合っていないように思えてしまい、自分の知識と検索能力では手詰まりです。

筐体側から作業を進めてしまっていて、現状はオプションのリミットスイッチに倣って同等サイズのオムロン製(DC30V / 0.5A)のNCとCを使用し、0.75mm2の非シールドケーブルで組んでしまっていますが、実際の運用上で安全なケーブルはどのようなものを選定すれば良いでしょうか?

緊急停止スイッチと直列にリミットスイッチに繋ごうとしています。

オプション品に倣ってシールド付きにするなら、一番大きい物なのであろう2.0mm2の2芯なら15Aは流せるようですが…。
スイッチはケーブル容量に対して選ぼうと考えています。

また、この考えに基づくならマイナス方向にもハードリミットを設けるのが妥当な気がしてきましたが、どうでしょうか?

長文で申し訳ないですが、ご教授いただければと思います。

こんにちは。
電気は精通しているわけではないですが、わかる範囲でお答えします。

  • 原点検出用スイッチとは別ににハードリミットとしてのスイッチを設けたい
  • 上記のスイッチは押下時に物理的な電源遮断を行いたい

ということですよね

ソフトウェア的なリミットスイッチ(ハードリミット及び原点復帰用)であれば、示されているように0.75mm2のケーブルで十分かと思います。これは数mA程度しか電流は流れないためです。この場合、ノイズ対策の観点からシールドは当然あった方が良いです。シールドはなくても動作しますが、ソフトウェア的なハードリミットを使う場合は配線状況等によっては誤動作することがあります。
シールドについては下記のトピックが詳しいので参考にしてみてください。

ケーブルは負荷(制御基板+モーター)から考えればよいかと思います。
負荷電流 * 安全率(1.5とか)でケーブルの電流量を選ぶといった感じでしょうか。

負荷電流はどうするかですが、手っ取り早いのは制御基板と電源間を電流計で計測してしまうことかと思います。各軸の加減速時が最大の電流量となるはずです。

一応ざっくりと計算からも求めることはできます。
モーターの消費電力 = モーターの1相のコイル抵抗 * (モーターに流す電流 ^ 2) * 2
24V電源に流れる1モーターの電流 = モーターの消費電力 / 24
実際に流れる電流量とは異なりますが、目安として。

ちなみに以前個人的に24V電源からデフォルト設定のCNC xPRO v5への電流量を計測した際はAvalonTechの小さい方のステッピングモーター3個を最速移動時で約4Aぐらいでした。(こちらはたしか写真等撮っていたはずなので、探してこちらのBBSにも載せようと思います)
ArtCNC Largeということでモーターの種類もモーター数も違うとは思いますが、トータル10Aは超えないような気はします。

原点検出(ホーミング)を行わないのであれば問題ありませんが、両端に物理的な電源遮断のスイッチを設ける場合、原点検出スイッチを押す際に電源断となってしまい原点検出ができなくなる可能性があります。
原点検出スイッチを軸端におかず、少し離れたところに置き、移動時に原点検出用スイッチをスルーするような機構があれば可能だと思いますが。
原点検出ができないと機械座標が電源投入時に毎回変わってしまうので、一度中断した加工を続きから加工したい場合や同じものを同じ場所で加工する場合に段取りが面倒になります。

物理的電源断の場合、電源側のケーブルをシールド付きのケーブルにするかどうかは、判断がつかないですが、電源にノイズを載せない(載るかはわかりませんが)ようにするのであればシールドケーブルを選ぶと良いのではないでしょうか。

回答になっているかちょっと不安ですが、ご参考になれば

緊急停止ですが、これはどういう風に停止させたいかによると思います。
Duet3の例ですが Connecting an Emergency Stop | Duet3D Documentation
に考え方があります。

注意するところは、電源を切ってもしばらくは工具が回っている所です。
またコントローラーの電源を落とすとステッピングモーターのテンションも無くなります。
深い所を削っている時は、エンドミルの歯が下向きの力を生み出しているので下手すると深く掘り進めるという問題もあります。

まあ緊急なので人間が機械に巻き込まれているという状況も考えると全部電源を切った方がいいぐらいなのかもしれません。

それから +方向のオーバートラブルに関しては普通にリミットスイッチを並列(X, Y, Z)に繋いで、コントローラーの緊急停止に繋ぐだけで良いと考えます。これは工具が動いていても全く問題ありませんし、逆にコントローラーの電源まで落としてしまうと、ステッピングモーターのテンションも無くなって工具が落ちてくる可能性があります。

緊急停止のスイッチですが10Aのスイッチに8Aぐらいのモーターを繋ぐと、突入電流を考えるとちょっと怖いです。
SSRリレーを使うぐらいかなあ。と思います。中国製で信頼性は?ですがとても安い秋月電子で扱っている FOTEK SSR-40DAあたりなら余裕があると思われます。ただ、熱は出るようなのでアルミフレームにシリコングリスでくっつけるぐらいの放熱はした方がいいかもしれません。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-08620/ エラーになる場合はリロードしてください。

やりたいことはまさにその通りです。

目的は「万が一、不測の挙動を起こした際にも筐体に重大なダメージを与えない事」です。
「原点側にオーバートラベルしても壊れるのはホーミング用のリミットスイッチだけ」となれば上々です。
これを質問文に載せていれば良かったのに、無駄に回答文を長くさせてしまい申し訳ありませんでした。
しかし考えてみればホーミングに近接センサを用いれば壊れる部分は無くなりますね。

また、ご教示いただいたリンク先は確認済みでしたが、私の知識量では断片的にしか読み解けず、理解には程遠かったです。
いずれ学びが深まったときに意味がわかることを期しています。

基礎知識が足りていなくて、様々な角度から教えていただき感謝します。
電流の実測値も大変参考になります。
ご回答から推察するに、送水ホースは水圧に応じて自身の直径分の水を送り続けるが、送電ケーブルは負荷(制御基板・モーター)が要求する量に応じて都度変化し、その最大値が許容電流という理解で正しいでしょうか?

だとしても、「物理的な電気遮断による緊急停止」を採用するなら緊急停止スイッチは電源と制御基板を繋ぐケーブルの一部になるはず。リミットスイッチも同様。(間違っているかもしれないが、そのように考えています)

私の機械はハイトルクモーター x 4 の構成で、定格3.0Aに対してピーク電流2.7A以下になるように指示されていますが、基板やソフトリミット(私は使わないが)の分を無視しても10Aは超えています。

現実的に全てのモーターが許容電流に達するようなことは無いことは分かりますが、設計としては非常に危ういように思えてしまいます。
そうではなく、何か根本的な考え違いがあるのでしょうか?

犠牲層を必要としないような運用を考えていて、停止時のスピンドルの微細な動きは無視しても良いと思っています。
なるべくポン付けで済むようにと考えていたのですが、一般的なリミットスイッチの容量的にリレーで信号だけ取るのが、結局安上がりで手っ取り早い気がしてきました。

電気はしばしば水流で表現されるので、そのような理解で大丈夫だと思います。
あくまで24V電源はMAX 14A流す能力があり、その都度負荷に応じた量の電流が24V電源から制御基板に繋がった電源ケーブルに流れるということになります。
電源ケーブルの発熱等の観点から常時流しても大丈夫な最大電流量がケーブルの許容電流です。

たしかにモーターのケーブルには3A程度の電流が流れますが、それはモーターのケーブルにであって、24Vの電源のケーブルに流れるわけではありません。
というのも制御基板でモーター用に電圧の変換みたいなこと(厳密には全然違いますが)をしており、モーターに流す電流量を制御しています。
ハイトルクモーター自体は4Vくらいかけると3A流れる性質のモーターです。
ロスなしで変換しているとすると、4Vで3Aは24Vで0.5Aくらいのエネルギーになります。つまり、24V電源側にはモーターで流れる電流よりも小さい電流が流れているということです。

こちらに私のマシンで流れる電流の結果などを載せましたが、ハイトルクモーターに変えても24V側の電流量が大きく変わらないのではないかなと思いますので、結果モーターが4個であっても10Aは超えないのではないかなと考えています。(morihさんが指摘するように突入電流はどうなっているかはちょっとわからないですが・・・)

とてもよくわかりました。
ありがとうございます。
とは言え、難解な数学の証明の解説を聞いているような感覚で、身についた感はありませんが(笑)

モーターの最高出力は3Aとしてモーター全てに最大の負荷がかかっても、電源側には8A程度しか流れないのではないかということですね。

当初は下記のようにシンプルに繋ぎたかったのですが…


リミットスイッチの選定が問題です。
オムロンでZ-15EWRや、Z-15GL-Bなど強いものもあるようですが、突入電流が「ランプ負荷」や「電動機負荷」にあたるらしく、見方が違うかもしれませんがどうも容量不足なのでは無いかと。

別途電源を用意して安い小型SWにして、リレーで信号をもらうだけにするのが無難でしょうか?

流れる電流のことを考える必要がなくなるので無難というか、心配が少なさそうなのはリレーを使う方かと思います。
別途12Vから電源を用意しなくても、既にある24V電源からリレー用に電源を取ってもいいとは思いますがリレーコイルのサージ対策をしないと他の機器にダメージが発生する可能性があるので、サージ保護内蔵のリレー使ったり、外付けのサージ対策をする必要があります。
その辺を考慮しないのであれば電源を分けてもいいのかなとは思います。その場合はリレーがDC12V対応であれば12V電源で大丈夫かと。
マイクロスイッチの許容電流に関してはリレーのコイル側に流れる電流量次第なので、0.1Aでいいのかは判別つかないです。(おそらく数十mAだと思うので超えないとは思いますが)

そうですよね。
機器の状態を少しでも自分の知識内にある環境にする方が、何かにつけて都合がいいのでそのようにします。
スイッチも手持ちが0.1Aだというだけで質問しましたが、同等サイズの3Aを使うことにします。

電源に関して、初めは24V電源から取ろうと思ったのですが、


赤矢印同士に導通があったのでダメだろうと思い却下しました。

次に基板の5V出力を使おうかとも思ったのですが、ソフトリミットと同じことをしてしまうことになるかもしれないと思いこれも却下しました。

ご教授の通り、既存の24Vから電源を取ってサージ保護内蔵リレーを使うようにします。

何度もありがとうございます。

この結線図で電源を別に用意する理由はリレーを通して電源装置を切ると
どーやって起動するかという問題だと思います。

私はCNCの非常停止端子を使いますが、コントローラーの電源を落としたいのだったら、
DC側をリレーでカットする方法を勧めます。

モノタロウで、これ値段設定間違っているんじゃないかというリレーがありました。
AQAD551DL https://www.monotaro.com/p/4560/0257/
他の所は1万以上なんだよな。悪い評価が入っているせいだろうか。

仕様等は

この記事の修正前は漏れ電流の事を書いてありましたが、仕様書を見ると 100mA → 0.1mA以下でした、これぐらいだとまず問題ありません。

追記:
DC用ソリッドステートリレーには極性があります。電源装置の+側にリレーの+, 負荷に繋ぐ方に(-)を繋ぎます。
もし逆に繋いだ場合は、リレー内部の保護用ダイオードで常時接続状態になります。
この接続をCNCコントローラーにした場合、常時ONになりますがCNCコントローラーは動きます。しかしCNCコントローラーでモーターを動かし始めたら最悪リレー内のダイオードが壊れて、正しい配線に戻してもサージに対する許容が下がります。(まあ下がってもCNCコントローラは起動時突入電流があまり流れないため問題はありませんが)

追記2:
漏れ電流の記載を外しました。このリレーの場合問題ありません。他のSSRリレーとかソリッドステートリレーを使う場合は「漏れ電流」の定格を確認してください。
この問題CNCコントローラの場合は起動はするかもしれませんが、モーターを回すほどの電力は供給できないので問題にはなりません。ただコントローラーの確認用LEDぐらいは点灯する可能性があるので人間が誤認識する可能性があります。
漏れ電流で中途半端に動くのが嫌な場合は漏れ電流分抵抗で消費させる必要があります。直接モーターを繋ぐ時はどれぐらいあってもモーターなんて回るわけがないのですが、インバーター式のモーターの場合インバーターの起動ぐらいはするかもしれません。
(でもインバーターがあるモーターの場合はインバーターに外部コントロール端子があって普通それを使うのでそういうケースは無いよなあ)

とりあえず結線図を書いておきました。
電子回路用のCAD (Ki-CAD フリーウェア) で書いたので
リレー内部にあるLEDに制限抵抗が付いていません。

DCにはDC用のリレーを、ACにはAC用のリレーを使ってください。

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組んだはいいけど期限が近い提出物や他の仕事もあったりで、機械はあまり触れていない状況です。
低負荷の試運転程度しか動かしていないので今後何か起きるかもしれませんが、現状に限ってはトラブルなく運用できています。

実際に動かしてみるとソフトリミットの信頼性は問題なさそうだし、原点方向に対してはホーミング用のスイッチをリミットと併用する設定で、安全は十分に確保できているように見えます。

ハードリミットの有用性に対して手間が膨大すぎたかな?とは思いますが、保険をかけようと始めた事だし勉強にもなったので良しとする事とします。

そんな訳で報告が遅くなり不躾でしたが、ありがとうございました。

返信遅くなり申し訳ないです。

産業用スピンドルからのノイズ干渉がどのような影響を及ぼすかよくわからなかったので、DCリレー1個だけで組んでしまいました。

みなさんお詳しくて用語が分からず、日本語なのに自分にとっては翻訳作業と大差ない場面もありました(笑)
何とか運用はできそうです。
ありがとうございました。